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機動戦士ガンダム オブリガード第一章・後半

 ルナウィリア(ウエストスポット)周辺の暗礁地帯。
 ルナウィリア周辺の宙域には主にコロニー・プラント郡が広がっている。
それらはイースト・ウエスト・サウス・ノースに別れ、スポットと呼ばれていた。
スポット郡は主に月面都市の生産施設だったり、娯楽施設だったりと様々な用途があり、その多くは民間に大きく開放されていた。
 中には軍事拠点となっているコロニーもあるが、その数はそう多くはない。

そしてそれらを抜ければ、小惑星郡の広がる暗礁地帯となっている。
 そこは重力地場が安定せず航行が難しく、また残骸等のデブリが多く存在していて軍籍以外の船以外は滅多に通らない。

 そんな暗礁地帯に一隻の船が小惑星の影に隠れるように停泊していた。
その船はさながら軍艦のようで、商船や輸送船のようには見えなかった。

「こちらマルクス。ズロースチ。聞こえるか?」
その艦に近づこうとする一隻の小型艇…一人乗り…があった。
操縦している者は、先ほどジノヴィをソーコルと呼んでいた男性であった。
 <こちらヤコブ少尉。アンタの小型艇を捉えた>
備え付けの通信機から男性の声が聞こえる。だが、マルクスと名乗った男性は相手が違うとばかりに顔をしかめる。
 「ヤコブ少尉。お勤めご苦労。だが俺は船の方に呼びかけたんだ」
心なしか少尉の発音が皮肉を含んでいたが、相手はそんなの気にしてないように言い返す。
 <ズロースチは明日の作戦に備えて、通信封鎖している。悪いが貴方の相手は私だ>
通信状態が若干悪く、少しノイズは混じっているが、それでも笑っている事はすぐに分かった。
 「へっ、そいつはありがてぇや」
減らず口を叩くようにマルクスは言う。
 そうこうしている内に、マルクスの運転する宇宙艇のモニターに、一際大きい小惑星が映る。
それと同時に、その小惑星の上にポツンと一機のMSが哨戒機の如く、スナイピング射撃体制のまま座っていた。
一応その機体はスナイパーのように大型のビームライフルを装備していたが、こちらが味方という事もあり、銃口を下げていた。
 「ヤコブ少尉。俺もアンタが見えたぜ」
<こっちも肉眼で捉えた。周辺に不明機なし。船の方も着艦体制に入った>
「了解。マルクス。これより着艦体制に入る」
マルクスはカチカチとコックピット内を弄ると、小型艇は何かに導かれるように機動を始め、そして最終的に目的の船へたどり着く事ができた。

 彼らの母艦であるズロースチへと着艦したマルクスは、一直線にブリッヂへ向かった。
そこは艦のコントロールから武装管制、MSの発艦からすべて行う場所であり、艦長もそこにいる筈だからである。
 そうでなくとも、既に短距離通信によりブリッヂへ来て欲しいと言われていたので来たわけである。

 「マルクス・ヨーゼフ。只今帰還しました!」
ブリッヂへ入ったマルクスは敬礼をして入室した。
「よう、マルクス。一人だけ休日を味わってどうなったか?」
艦長席に座る男性が気さくに話しかける。
 「あれは休暇とは言えませんよ。頭」
冗談には冗談で返すマルクス。

「で?俺の息子はどうだった?ちゃんと勉強してたか?」
そんなやり取りをしばらくしていたが、艦長らしき人物はそう話を続けた。
「ええ、言いつけを守ってこの3年間。ずっと学校で大人しくしてたみたいです、友人も何人かできたみたいですし」
「ほう、友達ができたか…。やっぱ学校生活だからなぁ。」
と艦長らしき人物はうんうんとうなづいて見せた。
「ウチに連れてきたら、雇えるように言っておこうか」
「連れてきますかね?」
なんとも気の抜けた会話であるが、それでも艦長は続ける。
 「あ、それとマルクス。例の奴、渡しといてくれた?」
 「カードキーと生体データを渡しました。それでいいんでしょう?」
 「うんうん、それで大丈夫。これでもう明日を待つだけだ」
納得するように微笑み、うなづく艦長。

 「で、頭。当日の徒組はどういったメンバーで?」
マルクスは尋ねる。
 「あー中に入って奪う奴?あれねー。やっぱヤコブにやってもらうわ。あいつあの基地所属だったみたいだし。それプラス護衛で6人かな。ヤコブ入れて」
 「はぁそれは適任ですな。で、自分は?」
まぁそれが一番妥当かと、と言いたげなニュアンスで
 「お前は陽動で二機付けるから派手にやっちゃって。侵入ルートは後で教えるから」
 「それで、お頭。お前はどうするんだ?」
マルクスは艦長らしき人物に親しげに話しかける。その男もその発言を気にせずにその言葉の意味に少し戸惑っていた。
「え?俺?」
 きょとんとした顔で訪ね返す男性。

 「三年ぶりの再会ですよ?感動的な親子の感動と洒落込みましょうや」
マルクスはニヤリと歯を出しながら笑ってみせる。
「そうだなー。えーでも。あれ位の歳の子って結構デリケートだしさー。あー…でも、まぁ。ピンチになったら助けに行く位の事はしといてもいいかな。あっ、でも昨日出撃しちゃったしな…」

思い出したように、昨日出撃した事を告げると、申し訳なさそうに、指令所にいるレーダー係および通信係に告げる。

「作業班に確認~。明日までに俺の機体出せそう~?」
 「既に武装の再換装を終えて待機中。今からでも出せます」
男性がそう間の抜けた指示を飛ばすと即答でそうピシリと断言した通信係。
「あ、そうなんだ…」その剣幕に、少し圧倒された艦長であった。
 「ま、これでいいかな。じゃ、マルクス。明日息子に頼むわ」
 「了解しました。ヴァローナ・ローシ・ベルマン司令官」
マルクスはそう言われると、フルネームで男性の名を告げる。
 「マ~ル~ク~ス?フルネームはやめてくれよ~?」
いつまでも垢抜けた調子を見せたヴァローナ司令官であった。




ウエストスポット 第七コロニー行政区軍基地 機密格納エリア
第七コロニー。そこは行政区軍がウエストスポットを巡回する為に作った基地で、コロニーそのものが軍隊の基地となっている。
 だが、現在の上層部の方針で近隣住民の理解の為、基地の観光および使用が認められている。
ジノヴィ達の学生らが明日見学に来るのも、そう言った経緯からである。

だがこの機密格納エリアは厳重なセキュリティにより関係者以外は立ち入り禁止になっている。
無理もない、ここは基地の一般的な兵士達でも立ち入る事ができない区画『機密格納エリア』なのだから。
そのエリアは文字通り、まだ正式採用されていない兵器を納める場所である。
 そんな区画に、行政区の高官と思われる人物と、付き添いの技官と武官。そして護衛の二名がいた。

「これが…例の機体かね?」
高官が口を開く。彼らの眼前には二機のMSが格納されていた。
 「ええ、新次世代型MS開発の1号機の改良型と、2号機です。この改良機は便宜上、一号機改と呼称させていただきます」
技官が右斜め後ろに控えてそう発言をする。
 「うむ、確かその一号機はまだ現存するのであろう?」
高官はふと技官の方を向いて尋ねる。
 「ええ。ですが1号機は今まで集めた技術の集合体でして、実験的意味合いの強い機体です。
性能的には申し分ないのですが、生産性・整備性は最悪。今後は技術誇示目的で保存される予定です」
 「そうか…。で、この一号機改はどうなのだね?」
技官の言葉に、再び眼前のMS…つまり一号機改へ目線を移す。
 「その前に、まずは2号機から説明させていただきます」
技官が資料をペラペラとめくる。
 「2号機は、1号機のスペックダウンを目的としていたのですが、開発陣営内での方針の違いからトラブルが起こり、再度の変更がなされた機体です」
「ふむ、確か重装甲・火力特化と軽中装甲・汎用特化に揉めたそうだな?」
 「ええ、その結果1号機の改良型を軽装甲・汎用特化に仕上げるというプランで落ち着き、結果2号機は重装甲・火力特化という仕様となっております」
そういうと技官はスッと隣の機体に手を伸ばす。
 「ふむ…」
技官が伸ばす方を見るが、それでも高官は動かない。
 「実戦には投下は可能かね?」
高官は深刻そうな顔で一号機改を見上げる。
 「1号機改はまだテスト段階で武装の方も現時点では従来機の物を使用するしかない状態ですが、従来機の武装を使えば実戦には投下可能2号機は既にパイロットの完熟訓練も末期にあり、2号機は既に投下可能です
技官の言葉に、安堵の表情を見せる。
 「そうか…状況によっては1号機の方も戦場に出す必要がある。できるかね?」
性能で言えば次世代機の1号機なら実戦への投下は可能です
しかし、この一号機はあくまで実験機。
2号機および1号機改の生産ラインは6割以上が同じなので、2号機と同じ要領で1号機改も整備・修理は可能です…しかし1号機はすべてこちらの手製。量産には適さないのはもちろん。整備や修理をする為の部品の調達が難しいと思われます
 高官の言葉に技官は頭を悩ませるように言う。
 「そうか…。今はとにかく、一機でも多くのMSがいる…」
悩ましくする技官の姿を後ろで感じ取ったのか、無理を言ってすまないと言わんばかりの口調で言う。
 「…それほど、地上の情勢は悪いのですか?」
資料をめくる技官の手が止まり、真面目な顔で高官を見る技官。

 「…他言無用だが、正直な話、相当に悪い。楽観主義者共は現状維持を決め込んでいるが、我々は奴らの全容すらまだ掴めてはいない…。
惑星ウィリアムは地球政府にとって重要な拠点だ。独立派が大規模な決起を起こす前に、なんとしてでもシラミ潰しに奴らの拠点を攻撃し、ウィリアムを安泰にさせねばならん」
しばらく技官の問いに沈黙を守っていたが、観念したように口を開く高官。
そして「その為にも」と言葉を繋げる。

 「このガンダムを一刻も早く前線へ出して情勢を鎮静させなければならん」
高官は凛とした声で確かにそう言った。
 「…ガンダム…確か、昔地球圏での戦争時に使われた兵器の名前でしたね」
今まで口を閉ざしていた武官がそっと口を開く。
 「うむ、私も開発陣営から聞かされた時は少し思い出したよ」
乾いた笑いを少し出す高官。
「 現在、地上である惑星ウィリアムの情勢が芳しくない今、伝説に肖り、ガンダムでもって秩序をもたらす。それが開発陣営の一声でしたね」
技官も思い出したように言う。
「過去の伝説に頼るのは軍人としては論外だ。
だが、それでも使える物は使う主義だ。それで情勢が好転すればそれでいい。秩序をもたらす光となれば…な」
高官は遠い目で機体を見つめている。が、ふと気づいたように技官の方を振り向く。
「そういえばこの機体には何か呼称か何かはないか?1号機改や2号機では歯切れが悪い」

 「ああ…それでしたら、1号機改はオブリガードガンダムMk-II。2号機はクロイツフェルトガンダムです」
技官はひょんな問いに、少し戸惑ったが、すぐさま答えた。
 「ふむ…助奏か…いい名だな」
オブリガードの元の意味をつぶやき、高官は改めて機体を見上げる。

格納庫の外では標準時間に従い夕方となっており、コロニー内を巡回する機体が忙しく飛んでいた。
基地内はそれなりの忙しさを保ちながら、それでも秩序のある時間を刻んでいた。
「クロイツフェルトは何が元なんだ…?」という問も、武官の心の中にそんな喧騒に包まれ、消えて行った。



「…ついに明日か」
ルナウィリアの月面都市、ジノヴィの自宅にてソーコルと呼ばれたジノヴィが静かにベッドの上で佇む。
 ベッド上には布きれの上に実弾拳銃の部品がきれいに並んでいる。どうやら整備中らしい。
「結局これ一度も使わなかったな…はあ」
そうつぶやいてジノヴィは部品を磨く。
「…明日、か」

未練のようにつぶやくその声はハイドランジアの夕日の喧騒に消えて行った。

つづく?
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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タイトル
2011年2月16日導入
プロフィール

テト式

Author:テト式
24歳。がくせ…介護職員です。
東方厨だと思ったら艦これに裏切ったけど小鈴ちゃんが可愛いから那珂ちゃんのアイドルやめます。
艦これはやってません(迫真

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