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鉄道帝國日本その4

1894年10月
 「日本が清に戦争を仕掛けて3ヶ月…どうやら心配無用という訳か」
神戸のトレビシック兄弟邸にて、フランシスはパイプタバコを咥えながら新聞を読んでいた。
 連日の新聞に載るのは、日本軍が朝鮮から清国内へ攻め入っているという内容であった。
清国と戦争が始まり、にわかに軍隊の使用が急激に高まったものの、戦争という事で収益が悪化していったが、その代わりに、緒戦での展開は目を見張る物であった。
 「その気になれば東京から海軍の大きな港がある広島まで半日で行けるからね」
 「…大体13時間だろ。だが、標準軌を敷いた意義がこれでついたという訳だ。今頃どうしているのだろうか、私が標準軌を敷けと言った時に猛烈に批判した大臣どもは」
 「今頃東京の議会で仕事をしているさ」
ヘンリーの返答に「確かにな」とくすりと笑うフランシスは静かに新聞を読み返す。
 「しかしあの時は驚いたな…」
 「どの時?」
 「開戦が始まったときの我が母国を含む海外各国の新聞たちの言いようさ」
その言葉に、ああとヘンリーは頷く。
 「日本が清国の属州で、この戦争は独立戦争とか報道する新聞もあったよね」
にやにやしながらヘンリーは言う。
 「あの時は笑ったなぁ」
フランシスも笑顔である。
 「しかしながら、日本はどうであれ、清国にしてみれば大体そんな感じじゃないのか。中華思想という奴だ」
 「無理も無いよ。有史以来、あの大陸の王朝達は常にアジア一帯に覇を唱えていたのだから」
 「確か、火薬とか鐙(あぶみ)とか最初に開発したんだっけな?それならそう考えるのも無理ないな。『俺が一番賢いから偉い』という考え方だ」
 「でもそうやって自尊心ばかり高いから新しい事を学ぼうとせずに昔ながらの戦法でアヘン戦争へ挑んだ」
 「あの戦争は我が母国の栄誉に傷をつけるものだったが、その分得た物は大きい。それだけは言える。
…と話がずれてしまったな。お前が自尊心云々を言うからだ」
フランシスはそう言うと、再び新聞に目を通す。
 「あ~そうそう。なんでも日本鉄道は本土にて標準軌の更新を進めるらしいよ。未だ60キロの旧式を使ってるところが多いからってさ」
 「四国はどうなるんだ?そろそろ敷設しないと過疎るぞ?」
 「まぁその内するんじゃないの?それより兄さん。なんでも蒸気機関の性能が大分上がったそうだけど」
 「ああ、最大時速100キロを超えた。だが、まだ標準軌に更新されていない所もあるのだから、完全に終わったら製作をしようかと思うがね」
フランシスはそう言うと新聞をたたむ。そして「寝るから喋るな」というと、椅子に座ったまま寝始めた。

1894年10月
 そんなこんなで総武線やら房総線の房総半島の更新が終了した。そんでもって開発を進めていた電気モーターの製作に成功した。
 年があけて1895年。勝利を重ねた日本は3月にて下関条約を結び戦争は終わった。
日本は、朝鮮の外交的な関係の完全破棄、遼東半島・台湾・澎湖列島の割譲。そして多額の資金での賠償金を獲得した。が、4月にはロシア・フランス・ドイツが遼東半島の所持に反発。かの有名な三国干渉により、せっかく勝ち取った領土を手放す事ととなる。
 そんなこんなで5月。貰った台湾を治める為に軍を派兵するも、原住民の抵抗を受け交戦状態へ陥った。

 1895年6月。
本土の更新に追われていたが、いよいよもって四国の敷設に乗り出す。
 1895年12月。
四国全域の路線の敷設が完了した。しかし四国自体に人口が少なく、収益の方は芳しくなかったものの、全体の収益が112億で、維持費が52億なので差し引いても半分以上が収益なので全く問題はなかった。

台湾の方は7月頃に鎮圧し大規模な開拓と工業化が始まった。
 そんな関係もあってか、日本国内は活気にあふれていた。東京の人口は1185万。名古屋は414万、京都は355万、大阪657万、広島189万、熊本120万、鹿児島108万。経済動向指数は82。
 人々は鉄道を使って工場のある都市へ向かい、また企業も品物を鉄道で全国へ流す仕組みが確立していた。
 政府も、清国から捥ぎ取った賠償金でもって生糸などの軽工業から重工業への転換を打ち出している。
日本鉄道も、早急な鉄道敷設を命じられ、各地で敷設工事が始まった。

神戸 トレビシック兄弟邸
「やあ兄さん。メリークリスマス」
「ああ、メリークリスマス。ヘンリー」
もう数十回目となる日本でのクリスマス。
 「今年は色々な事があったね」
「ああ、清国との戦いがこうまであっさりと片がつくとはな。ああ、そうだ。戦争で思い出したが、お前なんでも軍隊の鉄道部隊の結成に携わっているそうだな?」
「うん、今回の戦争や、その後の台湾での戦闘で補給線へのゲリラ攻撃に悩まされたみたいだからね。
機関車による高速輸送で効率的な補給をする為に結成されるんだ。」
 「ふぅん。機関車は何を使うんだ?」
「ドイツの小型の機関車さ」
なるほど、とフランシスは頷く。
 「しかし早くないか。まだ終戦から1年も立ってないぞ?まだ戦後処理でゴタついてる頃じゃないのか?」
 「まぁね。まだ常備戦力の補充も終わってないしね。それに今はまだ検証中だしね」
多分本格的な結成は再来年以降じゃないかなとヘンリーは続けた。
 「それにしても強くなった物だ。ほんの20、30年前までここは刀と骨董品の銃を装備していた国だったのになぁ…」
フランシスはふうとため息をついて遠い目をする。
 「それ、兄さんがいうセリフかい?」
 「いけないかい?」
 「兄さんが一番この国を列強入りさせる為にがんばったように見えるけど?」
 「そうかい?」
フランシスははにかんで見せた。どうやら満更でもないようであった。
 「そうだよ。この国は狭いし、どっちかっていうと山岳地帯のほうが多いのに標準軌へ移行させたりさ」
 「あれはこの国のそう思っている政治家たちをけし掛けただけさ。今思えばよくあんな我侭が通ったものだ」
そういうと、二人は笑った。
 「さ、毎年恒例の母国のワインでも飲むかね。今年は結構いい奴が手に入ったんだ」
フランシスはそういって棚からワインを取り出した。
日本鉄道地図4860型機関車
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テーマ : 歴史小説
ジャンル : 小説・文学

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2011年2月16日導入
プロフィール

テト式

Author:テト式
24歳。がくせ…介護職員です。
東方厨だと思ったら艦これに裏切ったけど小鈴ちゃんが可愛いから那珂ちゃんのアイドルやめます。
艦これはやってません(迫真

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