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R-9Aが幻想入りしたようです。その2オマケ

R-9Aが幻想入りしたようです。どうでもいいオマケ


 「あたいこれ知ってるよ!ガオガイガーたんちきっていうんだよね!」

 落下物があった現場の片隅にて、河童が道具をまとめている所へ、氷の妖精が目を輝かせて河童が使っていた道具を拾って語りかけていた。
 「あーうん。そうだよ」
本当はガイガー探知機という名前なのだが、あまりに目が輝きまくっているので、反論しては面倒なことになるかと思い、苦笑いを浮かべて答える。

 「あげるよ?それ…。もう一つあるし」
 こういうのはさっさと切り上げるに越した事はないと思い、おもむろにリュックにある猛一つのガイガー探知機を見せて言う。
 「ほんと?ありがとー!!」
氷の妖精は本当にうれしそうな笑みと声を上げた。

 「大ちゃん、いこー!」
しばらく喜んでいたが、連れの妖精の事を思い出しておもむろに手を引いて立ち去ろうとする。
 「あ、うん。あ、あのニトリさん。ありがとうございました」
大妖精はそうお辞儀をすると、チルノにつれられてどこかへ行ってしまった。

 「…そういや、あれ壊れてたんだっけな」
騒がしい妖精が去り、礼儀正しい妖精も去った後、きゅうり味のサイダーを飲みながら、ニトリはあの探知機はこの前地底のカラス放射能を計ろうとして、こいしとかいう無意識の妖怪無意識に破壊されてしまった事を思い出した。
 「…まぁいいや、帰ろ」
そう呟くと、あらかたの道具をリュックに詰め込んで立ち去った。




独白
 何が言いたかったか。というと
ガイガー探知機の存在知ってたチルノちゃんぱねぇって事を言いたかった。
ちなみに俺の考えてるチルノちゃんはアメリカ語がイギリス語って事が分かる程度の頭脳です。
 でもイギリスの正確の位置は分からないんだね、仕方ないね。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

R-9Aが幻想入りしたようです。その2後半

R-9Aが幻想入りしたようです。その2後半


 「ん?こいつは…」
そんな会話を背中に受け、にとりはコックピット内に潜り込んで機械を弄っていたが、意外な事に気がついた。
「驚いた。こいつ、アメリカ語で書かれてる」
にとりは開いているキャノピーを見上げて言う。
 「ガラスに文字が浮き出るとはたまげたなぁ…」
絶えず上を見る体制で、されで手は盛んにコックピット内の機械を弄っているにとり。
どうやら、ガラスに文字が浮き出ているらしく、どうしても体制的にこうなってしまう。

 「イギリス語じゃないのか?」
魔理沙はそんな事よりもそっちの方に興味があった。
 「アメリカも元はイギリスからできてるそうだ」
そう言うのはタウンザーを両手に持っている寺の鼠である。
 「なんで?」
 「詳しい事は知らん。だがそうだと人里の寺子屋が言っていた」
ふぅん…と魔理沙は言う。
 一通り会話も終わり、さて次はこいつか…と月の兎に看病されている謎の生命体…何故か親友の生首にしか見えない生命体…をどうするか。と視線をそちらの方へ向ける。

その生命体はコックピットから引きずり出した時点で既に気絶状態であり、出血もしていたので月の兎に医学の心得があったので、治療を施していたのだ。

 そして視線をにとりが弄る戦闘機らしき物体に向ける。相変わらず、にとりが弄繰り回しているが、その5メートル上空では相変わらずオレンジの球体がクルクル自転しながら静止している。
このオレンジの球体は、当然ながらにとりの興味を引いていたが、調べようとにとり自家製の『のびーるアーム』でもって触ったら、そのハンド部分が消えてしまったのだ。
 リアクション的に魔理沙と似たり寄ったりであったが、流石河童といった所か、すぐさま『本体の方に電源のオン・オフボタンあるんじゃね?』という事に感づいて現在に至る訳である。


 「あらあら…これは大層な…」
 ふいに、聞きなれた声がした。
なんだと思ったらスキマ妖怪であった。

 「出たっ。寝ボスケスキマ妖怪」
はたてがびっくりしたように言う。
 「それは随分ないい様ね…っと。あら、これは…」
いきなり現れた紫は、ゴザの上に寝転がっている謎の生命体を発見すると、屈んでよくそれを見る真似をする。そして魔理沙の顔を見上げて一言。

「あなたと霊夢の子?」「んな訳ないだろ」


 「…とりあえず、その様子からすると、何か悪巧みか何かか?」
そう言うのはナズーリン。その表情はいつになく厳しい。
 「うふふ。違うわね…今回のこの騒動は私じゃないわ…というか、これはあれね」
どこからともなくスキマをあけて扇子を取り出し、口に当てる仕草をしながら優雅に紫は続ける。
「幻想郷への侵略」

 その言葉を発した瞬間。その場の空気が膠着する音が聞こえたような気がした。

 確かに、この落下物は幻想郷の外の世界から来た物である。
それも外の世界ではない。もっと別の世界からである。
しかも、先ほどのにとりの話を鵜呑みにすれば、次元を超えてやってきたらしい。
 なるほど、そう考えれば『侵略』と言えなくもない…がやはり言えないだろう。
少なくとも、魔理沙はそう思っていた。

 「で?その侵略者霊夢にそっくりな訳なんだが」
 「そうねぇ、偶然にしてはかなり似てるわよねぇ…」
そうわざとらしく言うと、紫は静かに霊夢らしき生首の生命体に近づく。
 「この生命体の具合はどんな感じかしら?狂気の月兎さん?」
 「え、あ、えっと…」
スッと見上げた紫に驚いてたじろぐ優曇華。
 「脈も呼吸も正常ですが…で、できればウチの医院で診れればいいかな…と」
脈あるんだ。とその場の誰もが思った。
あるのね…これ」
皆が思ってる事を口にした紫は手に持ってる扇子でもってつんつんと突付いて見る。

 「そう、それじゃあ。これを貴方の師匠に診て貰いましょうかね
しばらくつついていたが、紫はそうハッキリ言った。
 「それとその機械の塊だけど…河童の貴方には悪いけど、一旦こちらが預かるわ
立て続けにそんな事も言ったが、当然の事であるが当の河童は嫌な顔をする。
 「そんな顔しないの。大丈夫、変な菌が着いてないか調べるだけだから…。そうね、私はこういうの良く分からないから、これを解明する時は必ず貴方を呼ぶわよ
 反論しようとした河童を制して、紫は続けて言う。その言葉に良しとしたのかにとりは機嫌を直したようであった。

 「燃えながら堕ちてきたのに、菌は死滅してると思うんだが」
魔理沙が疑問に思った事を口にしてみる。
 「あら、最近はゾンビになる菌とか、色々物騒な菌が増えてきてるそうよ?」
 「む、そうなのか。ならなおさら採集しておきたい所だが…」
紫の笑みを含んだ答えに、興味を抱きながら魔理沙は続ける。
「ゾンビウィルスが含まれてるかもしれない空からの落下物があるってのに、神社の霊夢はまだ着てないのか?」
 魔理沙は周りをキョロキョロとするが、やはりいつもの神社の巫女は来ていない。

 「ああ、霊夢ならここには来ないと思うわ。巫女は巫女で色々と忙しいみたいよ?」
 紫は微笑を浮かべて答える。
 「さて…と。それじゃぁ、皆様ごきげんよう」
しばらく機械の塊である落下物を眺めていた紫であるが、そう言うとスキマを開いて塊ごとスキマの中へ入った。

存在自体が異様にでかい存在であったため、かなりでかいスキマに飲み込まれたが、その後残ったのは巨大な抉れた穴のみであった。

 その場にいた野次馬である妖怪・妖精その他諸々は一種のイベント終了後のような空気に包まれ、一人一人離れて行った。

 「それじゃ、私は霊夢の所にでも行ってみるかな」
魔理沙もその空気に乗って、神社へと向かおうとする。

「お前達も一緒に行くか?」
少し離れた所で視線を感じたのでよく見たら、割と神社付近に出没する三人組の妖精たちがいたので声を掛けてみた。
「あ、魔理沙さん…」
「どうせ帰り道は同じなんだろ?一緒に霊夢の面拝みに行こうじゃないか」
その魔理沙の言葉に、サニー・ルナ・スターはお互いに組み合ってヒソヒソと相談をしていたが、結論が出たようであった。

結論・一緒に行く。

「よし、じゃあ行くか」
その光景がなんか面白かったので、ふふっと笑うと、空へと浮き上がった。

三妖精らはそれに遅れないようにと、慌てて後を追ったのであった。

続く。

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R-9Aが幻想入りしたようです。その2前半

R-9Aが幻想入りしたようです。その2前半

 その後、空から降ってきた物体は、瞬く間に幻想郷中にその存在を知られる事となった。
 まずは新聞記者を自称する天狗が駆けつけ、次に様子を見に来た各勢力のメイド長、半人半霊や月の兎、河童や白狼天狗、果ては寺の鼠や唐傘妖怪がやってきた次第である。
 その誰しもが、物体とそれに『乗っていたモノ』を見てその大きさに驚き、そしてその乗っていた『モノ』に驚いていた。

 「…これ…霊夢さん…?」
半人半霊の庭師が、魔理沙達がどうにかコックピットから救出した『モノ』を見てそうたずねる。
その『モノ』はどう見ても霊夢の生首としか見えない生命体であった。
「こいつはゆっくり。本で見てはいたが、実際に存在してるとは思わなかったぜ…」
魔理沙は、姫様のパシリでやってきた月兎の頼りない指導の元、懸命にゆっくりと言われる生命体の治療に当たっていた。
 「なんです?そのゆっくりって?」
庭師は絶えず尋ねる。
 「さぁな。意思と自我を持った喋る饅頭と言われてるが、様々な説がある」
魔理沙も、月兎に傷薬や包帯などを渡す間にすらすらと分かってる事を話す。
 「一説にはキノコ説・クリーチャー説・クローン説と様々だが…幻想郷には生息してないからただのハッタリか何かだと思っていたが」
 「ハッタリなのになんでそんな事知ってるんですかっ。というか、実際にいるみたいじゃないですかっ。目の前にっ!」
庭師は冷静に突っ込む。
 「だからパチュリーに借りた本にそう書いてあったんだって。詳しい事は分からんが、多次元世界の話なんじゃないのか?」
魔理沙はそんな話振られても困るといわんばかりにトンデモ論を打ち上げる。
 「…多元世界ですか」
そう言ったのは、優曇華であった。
 「なんだ?治療は終わったか?」
 「ええ、未知の生命体でしたが、一応は」
 「よく応急処置なんかできたな。未知の生命体なのに」
 「ほら、三国志の世界とか戦国時代の世界に行った時になんかいましたじゃん?あれですよ、あれ
「ああ、あれか」「あれってなんですかっ」的な会話が、魔理沙と庭師で起こるが、それもしばらくであった。
 「で、多元世界がどういうことなのよ?」
会話にイマイチ入れなかった紅魔館のメイド長がここぞとばかりに訪ねる。
 「このゆっくり…とあの戦闘機なんですが…多分その多元世界から来たんじゃないんですかね?って…」
やや話を急に振られて焦る優曇華であったが、どうにか伝えることに成功した。
 「からじゃないの?」
咲夜は言う。
 「外の世界からじゃないのかよ?」
そう言うのは魔理沙。
 「月にはこういう形の戦闘機はありませんし、生物兵器の研究もあまり進んでません。有力指導者が不在ですし…」
 何百年前の話だよと魔理沙に言われるが、それでも「月の兵器・戦術はあの時の話を聞く限り、表面上は私の頃と大差はありません」と反論した。
 「外の世界に関しても同等です。この戦闘機の材質・構造から察するに、外の世界でもネジ一本も再現する事ができない程、高度な技術であると見て取れます」
最後にそう言って絞めた。
 
 「と、言ってるが、本当かにとり?」
いまいち兎のいう事は信用できんと小言を言って、戦闘機をいじり始めてるにとりにたずねる。
 「その意見には賛同するね。こりゃ外の世界の人間でも無理なシロモンだ」
スパナを片手に、背中にはいつもより膨らんだリュックを担いだにとりが言う。
 「どう無理なんだ?」
 「色々と調べさせてもらったけど、こりゃ宇宙空間どころか次元跳躍すらできるかもしれない」
「「は?」」

魔理沙・咲夜・妖夢、その他諸々の方々が口を揃えて言う。
 「ほうほう…次元跳躍ですか」
そう興味深く言うのは自称清く正しい新聞記者の天狗であった。
 「理論的には聞き及んでいますが…それは理論だけで、実物は不可能なのでしょう?
いえ、その理論ですら眉唾モノなのでは?」
 「そうだね。次元を行き来できる理論は、つい最近できたばかりでしかも実用化はほぼ不可能に近い…でも、こいつは…」
と、惚れ惚れとした眼で機体に触るにとり。

 「おぅい。山の妖怪たちだけで納得するんじゃない」
と、魔理沙がその場の通常の人間・妖怪を代表して言う。
 「ああ、ごめんごめん」
笑顔で謝るにとり。

「え?次元跳躍って根の葉もないザレゴトじゃなかったの?」
そう言うのはもう一人の携帯新聞記者の天狗である。
 「いや、言うの遅いから」
どうやらこの携帯新聞記者、来たばかりなのでイマイチ状況が飲み込めてないらしい。

 「で、次元跳躍ってどういうことだ」
魔理沙は言う。
 「要はスキマ移動」
にとりのその言葉でその場の大半は「ああ、あれか」と納得して頷く。
 「という事は、この機械に乗れば、いつでもあの戦国時代や三国志の世界に行き来できるって事かしら?」
そう言うのはメイド長。
 「さぁ。それはどうだろうか」
にとりは首をかしげて言う。
 「どういう事?」
 「次元と世界の定義は違うんじゃないかな…多分」
 「…どういう事なんだぜ?」
 「あたしはそっち系じゃないから説明しにくいけど…、今私達の認識している空間が三次元だとして、認識できない空間が四次元とすると、この戦闘機はその四次元を飛ぶ事ができる…でもかならずしも『別の世界』に行く事はできない…んじゃないかなと思う」
 「要するに『よく分からないけどたぶんできない』という事かしら?」
咲夜がそう言う。
 「ま、そう言うことだね」
にとりはくすりと笑うと再び作業に戻る。

 「というか、よくそんな事がわかるな」
 数分の間を要したが、魔理沙はその事実に驚愕する。
 「というか、次元を跳躍する理論あるんですね…」
妖夢もそれに気づいて口に出す。
 「ふふふ。河童の科学を舐めてはいけない。その気になればスキマばりに空間を移動するための穴を作る装置や、神経を刺激して回避力を格段に向上させる装置とか色々作れるのだ」
 えへんと、胸を突き出すように威張る。
 「でも素材がないからできないってこの前言ってましたよね」
血も涙もない事を自称清く正しい新聞記者が言う。エグイ。さすが新聞記者、えぐい。 

「うぐ、それを言うな…」
痛いところを突かれたとばかりにぎくりとするにとり。
 「前者はなんだか、無機質空間に放り込まれて淡々とステージをクリアして『ほう、素晴らしい、ケーキをおごってやろう』ってノリっぽいな」
 「後者は人型ロボットに積まれているボタンひとつでできる加速装置的な…」
 「むしろ一発殴ったらジェネレーターが冷却モードになる試作アーマー?」
魔理沙、妖夢、咲夜の順に思い思いに参考となる『例』をあげてみる。

 ニトリはそんな彼女らをスルーしつつ、そのアメリカ語の解読に勤しんでいたのであった。

後半へ続く。

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R-9Aが幻想入りしたようです。その1

R-9Aが幻想入りしたようです。その1
~Y-TYPE外外伝 東方獅伝(とうほうれおでん)~



22世紀、そこでは次元空間を発見し、調査が行われていた。
 そこで発見された物は、26世紀の人類が生み出したとされる惑星生態系破壊兵器『バイド』であった。
 22世紀の人類は、この事実に驚愕し、その悪夢の存在と戦うべく、その悪夢の片鱗を手に、絶望的な戦いへと挑む事となった。
 バイドに有効的な攻撃方法として、元は掘削用として開発され物質を消滅させる『波動砲』と、発見と同時に回収したバイドのかけらから作られた無敵の盾であり無敵の矛である『フォース』。そしてそれらを装備可能な次元戦闘機『R-9A』がある。特にR-9Aはその汎用性から数多の派生・新型が起こり、伝説化して行くほどであった。

 そして、それらと平行して開発が進められたのが自立知能生物『Y-TYPE』。通称『ゆっくり』であった。
何故か存在していた人間の生首のようなこの生命体は、即座に軍に保護され、研究対象として利用される事となり、また軍用に転用されるのも当然とされていた。
 非公式だが、これらの存在によってバイド撲滅ミッションが成功したと過言ではない成績を残している。

 一番初めに使用されたのは第一次バイドミッション。これには公式では…それすら非公式であったが…1体のみの出撃しかないが、その裏では数体のY-TYPEが出撃しているという事が判明した。
 だが、それが生還したという情報は、終に入手する事は適わなかった。

              地球連合軍 調査部の簡易報告書の一部


幻想郷 永遠亭

 「あの…姫様」
永遠亭の最深部。いわゆる蓬莱山輝夜の部屋にて、ウドンゲが何かを伝えたいように輝夜に話しかける。
 「貴方の言いたい事は分かっているわ…」
と、静かに答える輝夜。

 「この小説は東方の二次設定が多く含まれているので、そういうのが嫌な人は早く戻るボタンか右上の×を押して早く逃げるんだ!!」

恐ろしくメタい発言を、明後日の方向を見上げながら高々と宣言し、ウドンゲの方を向いて『どう?』と言いたげな自信満々な表情で見つめる。
 「あ、いえ、そういう事ではなく…」
ウドンゲは戸惑いながら言う。
「え、なに?ひょっとしてこれ18禁なの?それとも暴力的な事でもある?そういう宣言の方がよかったの?」
 「そうじゃなくてっ、いい天気だから外出しなさいって、師匠が」
「馬鹿者。私が外出したら存在意義がなくなるじゃないの」
 「いえ、なくならないと思いますが…」
「とにかく、それは断る。たださえ妹紅と殺し合いになるんだから、行く訳ないでしょ、私はニコニコ動画で忙しいん…」
そう言おうとしたが、言えなかった。なぜならその瞬間、地響きがしたからだ。

「何?」
 「地震ですかね?」
地震というより火山かしら?それとも隕石かしら?なんかでかい音がしたわ」
そんな会話をしてると、輝夜は窓から状況を確認した。
 「ありゃ湖の方ね。煙が上がってるわ」
 「どうしましょうか?」
 「そりゃウドンゲ。見てきなさいよ。私はここでパソコンのツイッターで情報収集しているから」
そう言うと輝夜はカチカチとパソコンをいじり始めた。
 「はぁ…じゃあ行って来ます」
何を言ってもこの流れでは私が動かなければならないと悟った優曇華は不満げに部屋を後にした。




空から突如落ちてきた謎の物体は、湖のほとりの森林地帯へと落下していた。
そして、その落下した地点に近かった妖精たちが何だ何だ野次馬を気取って寄っていた。

 「何かしら…これ」
そう呟くのは太陽の光の妖精サニーミルクであった。
 「なんだろう…」
 「もしかして宇宙人?」
ルナチャイルドスターサファイアもそれに続いて首をかしげる。
 「宇宙人だったら危ないわよ、あの青いキャノピーが開いてグロテスクな何かキシャーって来るかも知れないわ」
スターサファイアがそんな恐ろしい事を言うと、周辺の野次馬妖精たちが騒ぎ出す。

ざわ…ざわ…ざわぁ…

 「それ、本当?」
焦りながらルナチャイルドは言う。
 「わかんないわよ…そんな事…」
サファイアはそう言うが、言った本人もかなり心配そうであった。

 「うおっ!なんだ…これは…」
そんな事を会話している内に聞きなれた声の人物がやってきた。
 「あ、魔理沙さん!」
サニーは喜んでその人物の名を言う。
 「おう、お前達か…。なぁアレって空から落ちてきた奴か?」
魔理沙も、何かと見慣れた妖精たちの姿を見て安心したのか、落ち着いて目の前の物体に指を指して言う。
 その指の先には…かなりの速度だったらしく、燃えながら落下したので所々焦げているし、周辺の木々もくすぶっている。
 外見は、全体的に白かった。というより、思ったよりでかい。高さは8メートル、長さは10メートル程であろうか?

 「こりゃ、外の世界の戦闘機かも知れん」
魔理沙は呟く。
 その場の妖精たちはやっぱりと頷く。
 なんかそれっぽい構造の羽に、それっぽいお尻(恐らくそれがエンジン)、そして全体的に白いが、ただ一つ青いガラスのみで覆われた部分。恐らくコックピットであろう。だが残念ながら落下したということで、そのコックピットから下が見事に埋まっていた。なので上記にあげた大きさは不明である。


 「中からグロテスクな冥王星人が出てきたらどうしょう…」
と本気でおびえた様子のルナチャイルド。
 「…いや、それより、もっとツッコむ所があるだろ?」
と、魔理沙は焦りながらその『ツッコみ所』を指を指す。

そこにはその機体の五メートル程の空中を浮かんでいる『何か』である。

 「ありゃなんだ」
 「あ、それですか。あれはヤバイですよ」
とサニーは言う。
 「なんだろうと、木の棒で突っついたんですが、その木の棒の先が消えちゃったんです

  「…は?」

魔理沙は思わずそう漏らした。
 「あ、いえ、だからっ、その。消えたんですって!本気でヤバイと思って近づかないことにしたんですが…いや、マジやばいんですよ!なんか…こう、あらゆる物を食べちゃうみたいな…」
恐らく、今のでキレてしまったと誤解したサニーは慌てて弁解をする。

 「…食われる…?」
魔理沙は冷静に、その『何か』を観察する。

 形は球体。色はオレンジであるが機械的な白い部分オレンジの部分が半分半分とハッキリしている。
 間接照明か何かか知らないが、なにかこう温かみを感じる熱量があるような気がするが気のせいかもしれない。多分焦げている部分もあるからその関係で。
 その球体はくるくると回っているようだが、戦闘機らしき物体の5m空中をキープして動かない。ただ浮いているだけである。
 未知の金属なのか、それとも神社の紅白巫女の陰陽球のように不思議な石の類なのか、何もしていないのにくるくると自転しつつ、浮きながら静止している球体に、魔理沙は興味があった。

 「ふむ…」
そう呟くと、おもむろに地面に転がっている石を拾って『球体』に投げてみる。
日ごろの弾幕ごっこの成果で、見当違いのところへは飛ばずに正確に『球体』へ飛ばす事ができた。
そもそも、『球体』の大きさは約6メートル。デカイので外すことはなかった。


 消えた。
かちんと高い音がしたと思ったら、破片も残さずに消えてしまった。
弾かれて地面の石と混じってしまったとか、そんなチャチな物じゃ断じてない。
なにか、こう、説明できない物理法則が働いとかいうレベルである。


 「…まじらしいな」
数秒の後、乾いた笑いを出す魔理沙。
つられて笑う妖精たち。

 その時、何かの空気が思い切り抜けるような甲高い音が響く。
その場にいた全員びくっと驚いたが、どうやら戦闘機らしき物の青いキャノピーが開いた。
 不幸か幸いか、壊れているらしく半分しか開かなかったが、覗きに行けば中の様子が分かる程度に開いている。

妖精たちと魔理沙はお互いに顔を見合っている。
 「じゃ、ジャンケンだっジャンケンで決めようっ。それで勝った奴が最初に覗きに行く。これで恨みっこなしだっ。いいか?」
この空気はまずいという事で、魔理沙は活気的なアイディアを発表し、妖精たちは互いにジャンケンをしあい、魔理沙もサニーを捕まえてジャンケンをした。

………
……


 「どうしてこうなった…」
涙目を浮かべながら、ルナチャイルドはその戦闘機に近づく。

 「悪く思うな…怨むなら自分の幸運を怨むがいい…」
「まさか相手にする度に全勝しちゃうとは…」
「悪運というか、幸運というか…」

遠巻きにそう口々に思ったことを述べる魔理沙とサニーとスターサファイア。 ま さ に 外 道 というべき仕打ちである。
おっかなびっくりのルナチャは戦闘機らしき所へ向かい、半開きとなっているコックピットの中へ覗き込むように入れる。


 「え、ちょ…え?こ、これって…え?なん…で…?」
いったいどんな生命体が入っているのだろうかと半泣きで覗いたが、中身はとてもとても意外な物であった。
 「どうしたー!何があったー!」
遠巻きに見ている魔理沙がそう大きな声で聞く。
どうやらサニーら妖精たちは何があってもいいようにと、岩陰などに頭のみ出して見学といった様子である。

その声を聞いたルナチャは首を引っ込めて、どう説明していいかを5秒程考えていたが、ついにありのまま起こった事をあるがまま話す事にした。

 「えっと…霊夢さんです!!霊夢さんの生首があります!!」

その大きな声を聞いた魔理沙達が思い思いのリアクションをとる一方、その戦闘機の中で傷ついた霊夢…の生首のような生命体はこう呟いていた。

 「ちきゅうは…バイド……は…どう…なった……?」

突如として幻想の空から落ちてきた謎の飛行物体、そして霊夢の生首…。
彼女が幻想郷に何をもたらすか?それは絶望か、希望か…。

続く。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

タイトル
2011年2月16日導入
プロフィール

テト式

Author:テト式
24歳。がくせ…介護職員です。
東方厨だと思ったら艦これに裏切ったけど小鈴ちゃんが可愛いから那珂ちゃんのアイドルやめます。
艦これはやってません(迫真

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