R-9Aが幻想入りしたようです。その1
~Y-TYPE外外伝 東方獅伝(とうほうれおでん)~
22世紀、そこでは次元空間を発見し、調査が行われていた。
そこで発見された物は、26世紀の人類が生み出したとされる惑星生態系破壊兵器『バイド』であった。
22世紀の人類は、この事実に驚愕し、その悪夢の存在と戦うべく、その悪夢の片鱗を手に、絶望的な戦いへと挑む事となった。
バイドに有効的な攻撃方法として、元は掘削用として開発され物質を消滅させる『波動砲』と、発見と同時に回収したバイドのかけらから作られた無敵の盾であり無敵の矛である『フォース』。そしてそれらを装備可能な次元戦闘機『R-9A』がある。特にR-9Aはその汎用性から数多の派生・新型が起こり、伝説化して行くほどであった。
そして、それらと平行して開発が進められたのが自立知能生物『Y-TYPE』。通称『ゆっくり』であった。
何故か存在していた人間の生首のようなこの生命体は、即座に軍に保護され、研究対象として利用される事となり、また軍用に転用されるのも当然とされていた。
非公式だが、これらの存在によってバイド撲滅ミッションが成功したと過言ではない成績を残している。
一番初めに使用されたのは第一次バイドミッション。これには公式では…それすら非公式であったが…1体のみの出撃しかないが、その裏では数体のY-TYPEが出撃しているという事が判明した。
だが、それが生還したという情報は、終に入手する事は適わなかった。
地球連合軍 調査部の簡易報告書の一部幻想郷 永遠亭 「あの…姫様」
永遠亭の最深部。いわゆる蓬莱山輝夜の部屋にて、ウドンゲが何かを伝えたいように輝夜に話しかける。
「貴方の言いたい事は分かっているわ…」
と、静かに答える輝夜。
「この小説は東方の二次設定が多く含まれているので、そういうのが嫌な人は早く戻るボタンか右上の×を押して早く逃げるんだ!!」恐ろしくメタい発言を、
明後日の方向を見上げながら高々と宣言し、ウドンゲの方を向いて
『どう?』と言いたげな自信満々な表情で見つめる。
「あ、いえ、そういう事ではなく…」
ウドンゲは戸惑いながら言う。
「え、なに?ひょっとしてこれ
18禁なの?それとも
暴力的な事でもある?そういう
宣言の方がよかったの?」
「そうじゃなくてっ、いい天気だから外出しなさいって、師匠が」
「馬鹿者。私が外出したら
存在意義がなくなるじゃないの」
「いえ、なくならないと思いますが…」
「とにかく、それは断る。たださえ妹紅と殺し合いになるんだから、行く訳ないでしょ、私は
ニコニコ動画で忙しいん…」
そう言おうとしたが、言えなかった。なぜならその瞬間、
地響きがしたからだ。
「何?」
「
地震ですかね?」
「
地震というより
火山かしら?それとも隕石かしら?なんかでかい音がしたわ」
そんな会話をしてると、輝夜は窓から状況を確認した。
「ありゃ
湖の方ね。煙が上がってるわ」
「どうしましょうか?」
「そりゃウドンゲ。見てきなさいよ。私はここで
パソコンのツイッターで情報収集しているから」
そう言うと輝夜はカチカチと
パソコンをいじり始めた。
「はぁ…じゃあ行って来ます」
何を言ってもこの流れでは私が動かなければならないと悟った優曇華は不満げに部屋を後にした。
空から突如落ちてきた謎の物体は、湖のほとりの森林地帯へと落下していた。
そして、その落下した地点に近かった妖精たちが何だ何だ野次馬を気取って寄っていた。
「何かしら…これ」
そう呟くのは
太陽の光の妖精サニーミルクであった。
「なんだろう…」
「もしかして宇宙人?」
ルナチャイルド、
スターサファイアもそれに続いて首をかしげる。
「宇宙人だったら危ないわよ、あの
青いキャノピーが開いて
グロテスクな何かが
キシャーって来るかも知れないわ」
スターサファイアがそんな恐ろしい事を言うと、周辺の野次馬妖精たちが騒ぎ出す。
ざわ…ざわ…ざわぁ… 「それ、本当?」
焦りながらルナチャイルドは言う。
「わかんないわよ…そんな事…」
サファイアはそう言うが、言った本人もかなり心配そうであった。
「うおっ!なんだ…これは…」そんな事を会話している内に聞きなれた声の人物がやってきた。
「あ、
魔理沙さん!」
サニーは喜んでその人物の名を言う。
「おう、お前達か…。なぁアレって空から落ちてきた奴か?」
魔理沙も、何かと見慣れた妖精たちの姿を見て安心したのか、落ち着いて目の前の物体に指を指して言う。
その指の先には…かなりの速度だったらしく、燃えながら落下したので所々焦げているし、周辺の木々もくすぶっている。
外見は、全体的に白かった。というより、思ったよりでかい。高さは8メートル、長さは10メートル程であろうか?
「こりゃ、
外の世界の戦闘機かも知れん」
魔理沙は呟く。
その場の妖精たちはやっぱりと頷く。
なんかそれっぽい構造の羽に、それっぽいお尻(恐らくそれがエンジン)、そして全体的に白いが、ただ一つ青いガラスのみで覆われた部分。恐らくコックピットであろう。だが残念ながら落下したということで、そのコックピットから下が見事に埋まっていた。なので上記にあげた大きさは
不明である。
「中からグロテスクな冥王星人が出てきたらどうしょう…」
と本気でおびえた様子のルナチャイルド。
「…いや、それより、もっと
ツッコむ所があるだろ?」
と、魔理沙は焦りながらその
『ツッコみ所』を指を指す。
そこにはその機体の
五メートル程の空中を浮かんでいる
『何か』である。
「ありゃなんだ」
「あ、それですか。あれは
ヤバイですよ」
とサニーは言う。
「なんだろうと、木の棒で突っついたんですが、その
木の棒の先が消えちゃったんです」
「…は?」魔理沙は思わずそう漏らした。
「あ、いえ、だからっ、その。消えたんですって!本気でヤバイと思って近づかないことにしたんですが…いや、マジやばいんですよ!なんか…こう、
あらゆる物を食べちゃうみたいな…」恐らく、今のでキレてしまったと誤解したサニーは慌てて弁解をする。
「…食われる…?」
魔理沙は冷静に、その
『何か』を観察する。
形は球体。
色はオレンジであるが
機械的な白い部分と
オレンジの部分が半分半分とハッキリしている。
間接照明か何かか知らないが、なにかこう
温かみを感じる熱量があるような気がするが
気のせいかもしれない。多分焦げている部分もあるからその関係で。
その球体はくるくると回っているようだが、戦闘機らしき物体の5m空中をキープして動かない。ただ浮いているだけである。
未知の金属なのか、それとも
神社の紅白巫女の陰陽球のように
不思議な石の類なのか、何もしていないのにくるくると自転しつつ、浮きながら静止している球体に、魔理沙は興味があった。
「ふむ…」
そう呟くと、おもむろに地面に転がっている石を拾って『球体』に投げてみる。
日ごろの弾幕ごっこの成果で、見当違いのところへは飛ばずに正確に『球体』へ飛ばす事ができた。
そもそも、『球体』の大きさは約6メートル。デカイので外すことはなかった。
消えた。
かちんと高い音がしたと思ったら、破片も残さずに消えてしまった。
弾かれて地面の石と混じってしまったとか、そんな
チャチな物じゃ断じてない。なにか、こう、
説明できない物理法則が働いとかいうレベルである。
「…まじらしいな」
数秒の後、乾いた笑いを出す魔理沙。
つられて笑う妖精たち。
その時、何かの空気が思い切り抜けるような甲高い音が響く。
その場にいた全員びくっと驚いたが、どうやら戦闘機らしき物の青いキャノピーが開いた。
不幸か幸いか、壊れているらしく半分しか開かなかったが、覗きに行けば中の様子が分かる程度に開いている。
妖精たちと魔理沙はお互いに顔を見合っている。
「じゃ、
ジャンケンだっ。
ジャンケンで決めようっ。それで勝った奴が最初に覗きに行く。これで恨みっこなしだっ。いいか?」
この空気はまずいという事で、魔理沙は活気的なアイディアを発表し、妖精たちは互いにジャンケンをしあい、魔理沙もサニーを捕まえてジャンケンをした。
………
……
…
「どうしてこうなった…」涙目を浮かべながら、ルナチャイルドはその戦闘機に近づく。
「悪く思うな…怨むなら自分の幸運を怨むがいい…」「まさか相手にする度に全勝しちゃうとは…」「悪運というか、幸運というか…」遠巻きにそう口々に思ったことを述べる魔理沙とサニーとスターサファイア。
ま さ に 外 道 というべき仕打ちである。
おっかなびっくりのルナチャは戦闘機らしき所へ向かい、半開きとなっているコックピットの中へ覗き込むように入れる。
「え、ちょ…え?こ、これって…え?なん…で…?」いったいどんな生命体が入っているのだろうかと半泣きで覗いたが、中身はとてもとても意外な物であった。
「どうしたー!何があったー!」遠巻きに見ている魔理沙がそう大きな声で聞く。
どうやらサニーら妖精たちは何があってもいいようにと、岩陰などに頭のみ出して見学といった様子である。
その声を聞いたルナチャは首を引っ込めて、どう説明していいかを
5秒程考えていたが、ついにありのまま起こった事をあるがまま話す事にした。
「えっと…霊夢さんです!!霊夢さんの生首があります!!」その大きな声を聞いた魔理沙達が思い思いのリアクションをとる一方、その戦闘機の中で傷ついた霊夢…の生首のような生命体はこう呟いていた。
「ちきゅうは…バイド……は…どう…なった……?」
突如として幻想の空から落ちてきた謎の飛行物体、そして霊夢の生首…。
彼女が幻想郷に何をもたらすか?それは絶望か、希望か…。
続く。
テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学